フィリピンローカルの一日 【仕事の日】編

前回に続き、「仕事の日」編をお送りします。日付は2018年12月2日です。

 

 


 

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メニューは中華ちまき。行程としては材料を前日か買物、当日朝に具材を洗ってカット、米も石や虫やヤモリの糞などが入っていることもあるのでよく見てから洗米する。肉と野菜を順番に炒めて調味液と餅米を足し、水分をとばして火から下ろす。竹の葉より手に入りやすいバナナの葉を洗ってカット。計量カップで計って3つのサイズに分けて包んでいく。葉を巻くのは市の立った日に仕入れてある業務用のミシン糸、通常は一巻40ペソのところを放出品か10ペソで、細糸ながら1センチ強の巻きの厚みがあり、半永久的に使えるような気がする…。 丁寧に結んでいては時間のロスになり、特段緩むことはないかと結ばず巻くだけ。ピーナツも入れるのだがアレルギーのお客さんが一人いるので特注でピー抜きを一個作る。

今回は餅米1キログラムで作り、大玉@25ペソが11個、中玉@15ペソが5個、細巻@10が3本が出来あがった(ここまでで野菜を洗い始めてから3時間を超える時間が経過している…)。

全部売れば380ペソ、原料費が170ペソなので2倍強で売ることになる。なお現在はシュリンクレーションで2.5倍ぐらいで売っている。というかドライカレーなどの方が時間が掛からないので中華ちまきは時々にくらいのポジションになっている。

この料理が他のと違うのは途中で味見ができないことだ。水分をとばした段階で口にしてみるが、蒸しの工程があるので塩を追加したりすると大概失敗する。さらに出来上がった後も、出来立てと冷めてからではまた風味が違ってくる。陳皮を入れたりすると冷めた方がおいしい。



(写真)1. 蒸した釜を片手に10分ちょっと歩いて、ランチタイムの市場に売りにいく。シャドウ自撮り。
2. 道には南国の椰子の葉が影を落としている。
3. 釜満杯のちまき。今回は卵も一緒に蒸してスペースの活用を図ってみた。
4. 市場内を一巡した後の釜の中の様子。残念ながら今回はいつもより売行きが悪かった。細巻の方は友達になった子にあげたり、お世話になっている人にあげたり、見込み客に試供品として渡したりする。
余った分を自宅を挟んで市場と反対側にある海の方の村に売りに行かないといけなくなった。「冷めてるけど もっとおいしいよ」といった意味の現地語を初めて投入して、なんとか予定の量を完売。 

5. 帰宅して最後の一つを食べる。蒸し卵と一緒に食べると格別においしい。オレンジ色のは何だろう、ミカンかな? 赤い色のお札は50ペソ札。
仕事用のノートにはこの日の利益は90ペソと自家消費大玉4個とある。
そのまま反省会に突入、昼も夜も2個食べたらダメ(4個も自分で食べてるようじゃ利益にならない、もっと売り込め、の意 )とか、骨付きチキンを一緒に蒸して単価増しを図るとか、コリアンダーをもっと細かく刻まないと噛んだ時に入浴剤みたいな匂いになるとか、ジャガイモを入れるなら塩をしておかないと とかダメ出しが並び、毎回ノート一頁いっぱいになる。しかしよく考えてみると毎回それぞれ同じ料理を作っているのに毎回一頁埋まるのはおかしい。売上げと利益だけを書き出して終わり、となる日はやってくるのだろうか。

 

 

 


 

 

 

( ついでに翌日 2018年12月3日の様子もご紹介していきます )

 

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メニューはドライカレー。海近くの村で夕方に露店を開き調理。食材は家でカット済み。
そのままの名前ではわかってもらえないのでカレーライスとダンボールに大書きする。この国では豚を使うのが禁じられているとでもいうかのように、カレーといえばチキンカレーであり、ご飯にかける習慣はなく別皿に盛るのが普通なので、見たり食べたりした子は口々に、チキンカリー、チキンカリーと言っている。この「チキンカリー」なのだが、どこの店のを食べても砂糖が入っている…。 鶏肉も小さく骨が入っているので身はほんの少し。 私のは辛さも利いているし、なんといっても手作りのウスターソースも使っている。全く初めてのおいしさのはずだと自負している。 
実際、食べた子供は「リーマス ダータ(これ、おいしい)!」と言い合い、次々と買っていく。当日の仕事用ノートにはこの日の利益は30ペソとある。少なすぎる、おかしいなと思ったら月一でやろうと思っていた3ペソセールを初めて開いた日だった。小学生以下は半パック5ペソのところを3ペソで売るのだ。ちなみに小学生のお小遣いは一日20ペソが相場。商店や地主の子は倍くらい貰っているだろうか。
この日は3ペソセールということで子供が集りすぎ収集不能になっている。ノートには(仮設のキッチン台が)いつ倒壊してもおかしくない、集金カバンは必ず(体の)前に(盗みをはたらく子が一定数混じっている)、整理員が一名要る、暴動一歩手前 身から離したもの(下に置いたリュックなど)は全て砂だらけに、など日本に居ては想像もできない文言が連なっている…。次回のキッチン台を囲む柵のレイアウトまで描かれており、これは販売開始から我先にと押し合いになったのと、小学生の多くが台の上の物を無闇に触らないということができないためである。さらに幼年組は好奇心なのか横や後ろからすごく距離を詰めてきて、そのたびに火も包丁もあり危ないから追いやるのだが一分とその状態は継続しない。これでは料理をしているのか子守りをしているのかということになってくる。薪の炉の穴を掘った小スコップも誰が持って行ったのか紛失。これを買い直せば今日の利益が丁度とんでしまうというトホホな結果に。
まぁそれでも半パックに換算して延べ50人以上の口に入ったようだ。女の子からとてもおいしいとスマイルでアピールされることもしばしばだが、それはそれで普段どんなものを食べているのかと心配になってくる。


(写真)6-7.   と、いうわけで当日は写真を撮っている状況ではなかったため最近3月に料理したときのを代わりに掲載。 3ペソセールのときはこの数倍の子供たちに取り囲まれていたわけだ。写真に写っているのは数人の子供たちだが、料理を作っていると聞きつけた子らがコンスタントにやってきて、230ペソほどの売上げになった。顔見知りの子、というか家を知っていて取り立て可能と見込んだ子はツケで買うことができるようにしている。たまに焦げ付く…。
写真の中に映っている現在の調理台は、使われなくなったゴミ袋用鉄枠を横にして竹を渡したもの。村のものを借りているわけだが、頑丈で軽いので助かっている。
海沿いなので陽が沈み始めると一気に暗くなるようだ。隣の写真から20分で真っ暗に。

8.  当日8時ごろか部屋に帰って売上金の確認。 多くの1ペソコインが見える。100ペソ札は商店の中学生が支払いに使ったもの。毎回お釣りもちゃんと用意しているので問題なかった。

9.  丼一杯ほどか自分の分を食べる。冷めててもなかなかおいしい。

 

 

下の写真は当時使っていた移動式キッチン台。キャリーケースを利用している。上からの力には強いが 横からには対応していない。二回倒れかけたが間一髪料理は無事だった。

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  二日続けて仕事を入れることはめったとなく、すっかりくたくたになってしまった。