フィリピンの片田舎に閉じ込められています【中編】

漁村の方にも週一、二回ドライカレーを売りに行っていたのだが、この“ロックダウン”とやらで、村唯一のまともな(?)娯楽、インターネット店も封じられ、お小遣いの使い途もないだろうと村での販売に力を入れることに。というか私の方も、市場と小学校という売り先を封じられているので必然的に村で売るしかない。
ちなみにこの漁村なのだが、小学校の校長先生と他所でひょっこり会ったときに「スクウォッターエリアで、マリファナを吸ってるんでしょ、あそこ」と言われるほどの所なのだが、ちゃんとハウスナンバー(住所)もあるし、四年ほど出入りしているがマリファナを吸っているなんて見たことも聞いたこともない(タバコを吸っているローティーンならたくさん居る)。

よく買ってくれる子の宅の前で火を起こし調理して販売。週2くらいで店開きしていると、その近所に住む、以前400ペソの借金を背負わせてしまった少女の母親から、親戚が所有している近くの家を500ペソで借りることができるよとのこと。さらに、調理した日の夜は砂浜にマニラペーパー(黄色の模造紙)を敷いて寝ているというのを子どもたちから聞いたのか、その家の玄関に付設されているロフトっぽいスペースなら無料で泊まっていいよ、と言ってくれた。400ペソの支払いはあれ以来なされておらず、無償提供して緩和を図るつもりなのか それとも単純に純粋な お申し出かはわからないが、廃墟みたいなところに住むのが子供の頃からの夢のひとつだったので、ここにきてそれが叶った格好だ。

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貸し出し中の家の外観

とはいっても、柱の老巧化か、それとも砂地であることからの地盤沈下か、明らかに床が傾いている。さらに、竹張りの床も虫食いなどで弱くなった所を誰かが踏み抜いたのかあちこちに穴が空いている。
さっそく次の週、私の自宅オーナー氏の敷地から竹を切ってきて、道具一式も持って修繕に取り掛かることに。
作業を始めようかと準備していると、その家の方に出入りしている青年ら(家は空き家みたいなものなので、持ち主の孫らを中心とした五、六人の青年らの屯する場となっている)が手伝ってやる、無料だ、と手を貸してくれることになった。その一人が竹張りのベッドを持ってきてその表面の竹を近くの子のお父さんも加わって引っ剥がし、ロフト部に転用していく。
ハンマーは計三丁ほどか、足りない青年はやや荒っぽいが石を手に釘を打ち付けっていった。釘もどこの子の親からか 提供されているよう。

 

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私の仕事は無くなり、柱の弱っているロフト部に多くの人員が入らないよう人数の管理をするだけになってしまった。

 

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一時間もしないうちに奥の方を残してすっかり床が仕上がって、お礼に近くのサリサリでコーラをおごることに。800ml入りのは25ペソ。これに私がいつもやっているようにひとつまみの塩とライチジュースの粉、それに水も入れてかさ増ししてみんなで分けた。細長いナイロン袋にジュースを注いでストローで飲むのがフィリピンの方式だ。ソルティライチ味コーラで一同「リーマス(おいしい)!」とのこと。青年らとも仲良くなれてよかった。