フィリピンローカルの一日 【仕事オフの日・テントマーケット編 】(後編)

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 張られたテントの様子を二階から撮影。色とりどりの天幕がはためいている。その準備は当日の午前3時台から始まっている…。果物屋さんなどが日中グッタリしてるのはそのせいである。
しかしその張り方というのが、隣接の家のシャッター収納部のエッジに引っ掛けたり、電線に引っ掛けてテンションをかけたりと無茶苦茶である。ロープも低く、テントの中を通るときはよく頭を引っ掛けそうになる。


市場の二階にある食堂の並び。10店分の店舗スペースがあるが現在は7店のみ。経営が難しいようで、ここ一年の内に5つの店が開業してしばらくで撤退していった…。

多くの店が、単品注文の他にバジェットミールと呼ばれる定食のような方式を採用している。陳列されている作り置きの肉と野菜のおかずから それぞれ一つを選び盛ってもらう。30ペソ〜40ペソの価格帯。炭酸飲料は飲食店では通常12ペソくらいのところ、この定食では5ペソの追加で付いてくる。野菜と野菜で盛ってもらうことも可能。肉料理は大体どこの店でもおいしいのだが、野菜の料理はその店の味が出る。無料で提供されるスープも店によっていろいろなので飲み比べをするのも面白い。ご飯やおかずの盛りの量も店によって少し違ったりする。

 


 

 大小のテントが西側と南側合わせて60張り以上。

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 テントの下を歩くときは 上からアクションスターが落ちてこないか注意しよう

 


 

 

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グーグルストリートビューにて。 市場の北西口から南方向を見る。
黄色のは商用ではない私用のトライセクル。

 


 

 食事を終えて市場内を巡る。 

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 一階中央のスペースにてウインナーの拡販イベント。大きな問題点が二つある。一つは対象の食品が冷凍食品であるということ。ご覧の通り、常温で陳列販売されている。階段の近くで吹抜けとなっており、屋根は採光のため半透明。正午前後となれば放射熱がきつくなる。

いや、合計三つの問題点だ。右端の写真の手前(下側)に映り込んでいるのは階段の手摺りである。階段はクランク状になっており、つまり写真の左側にみえる白い壁がクランクの踊場(の下)ということになる。 そう、多くの人が行き交うその2メートルほど下でウインナーが調理陳列されている。多くの日本人がのけ反ってしまうような光景ではないだろうか。ちなみにフィリピンの公設市場というのは、水拭き掃除をしないため、日本のショッピングセンターなどとは比べものにならないくらい埃っぽい。

そして最後の問題点はウインナーの色の濃さである。画像では分かりにくいのだが、かなり赤い色をしている。クレヨンのようなギラついた赤といった感じだ。油で揚げられて料理しているのだが、油が真っ赤に染まっていた…。一本10ペソ。私には試す勇気は無い。

冷凍食品の件についてはこちらのブログがその暗部に触れているが、フィリピン津々浦々、どこの市場の小売店でもこの方式で販売されている…。「地べた」ほどではないが、常温での陳列がスタンダードなのである。もちろん冷凍庫は各店に備え付けられているのだがそこに収まるのはストック分を別にすれば閉店しての夜の間だけである。私たち消費者は、市場で何回溶けて何回凍ったか分からないものを買うことになるのである。 HACCP:Have A Cup of Coffee, and Pray、「コーヒーを啜って あとは祈るだけ」を地で行くということか。

 


 

 

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同じく一階中央のスペースにてウィンナー特設販売所のすぐ隣りで売っているのは、家内製手工業で作られていると思われるアイスキャンディ。おそらくジュースの素と砂糖を溶かして、棒状の袋に詰めて凍らせたもの。問題なのは売り子が小学校中学年くらいの少年だということだ。児童労働はもちろん禁止されているが、労働局から許可をもらえばよいということになっている。果たして この少年の家族は正規の届け出をしているだろうか? しかし小学生がいろいろな物の売り子をやっているのはこの国では日常茶飯事なので、そんなことを気にしていたら外は歩けない。 

 


  

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ぶら下がる枝肉。毎朝4時台から男性が、これまた毎朝入荷される豚を捌いている。手にするのはほとんど鉈のような包丁。それを使って首を落とし、背骨を「縦に」真っ二つにする。6時ごろまではそうした作業が続くので早く市場に来た日なんかはしばらく見学したりする。血抜きがされているのか血が飛び散ることはないのだが、骨の破片くらいは飛んできそうな迫力である。良い部位は朝早く売れるのか昼過ぎに行ってもいつも見慣れた2、3種類の部位しか残ってない。未明から観察するとその差分の部位を知ることができる。料理が好きなわりには豚肉の部位とその特徴を知らずググって知識を仕入れた。日の出くらいからおばちゃんらにバトンタッチ、包丁と鉈の中間のサイズのものを用いてそれを木槌で叩き、骨ごと切り分けてお客さんに売られていく。

豚は概して美味しく、特にロースは日本のものより柔らかく感じる。逆に鶏肉は各部位が小さく、ジューシーさは無い。ケンタッキーなどで使われているものは別のルートのものだろうか、まだ食べたことがないのでわからない。牛肉は水牛の肉なのだろうか、豚肉の1.5倍ほどの値段なのに固くて味も悪かった。スープ取りには適しているのかホルモンや骨肉のスープの旨い店が市場内にはいくつかある。日本で見るような牛肉も輸入品としてショッピングモールのスーパーには置いてあるが 価格は日本と同じ、つまり数倍する。

次の写真は草履店か手芸店か画質も悪く、何を思って撮ったのか思い出せない…。

毎日のように利用するネット店。1ペソ5分、1時間12ペソなのでこれはマニラの最貧地区トンドエリアのコイン投入式路上ネット店と同じ値付けである…。
利用しない少年も他の友達の台を後ろから眺めるのに入店するが、なかなかの割合いでコソドロが混じっている。四回見つけて、いずれも胸倉を掴んで(日本語で)どやしつけてやったが 一度財布をやられてしまった。
小学3年生くらいから釣り銭詐欺を働く者が出始め、中学生になっても置き引きを試みようとする者が結構いる。驚くのは充分な金を持っている家の子息でも財布を狙ってくることだ。では貧しい家の子はどうかといえば、労働をしてお金の価値や大切さを知っていると思わる子でもやはり金を盗ろうとする。日本に居ては考えにくいが、働いたところがカネはカネということか。
ちなみに少女も男女比で3割くらいは居る。村内や小学校も併せて30人以上の少年少女が既に私の中でブラックリスト入りしている…。日本からのお土産があたらないのはもちろん、料理の試食もできないし、料金の後払いもさせないことになっている。取り消されることは余程の善行が認められない限り無いだろう。

 夕食は自宅でインスタントラーメン。人参ジャガイモキャベツと卵と五香粉。最近はこれにゴマ油と海苔を足している。
フィリピンではご飯とラーメンを一緒に食べるのが多数派ということか、乾麺の入りは60グラムほどと日本のものより少ない。それでジャガイモやサツマイモを足して食べることにしている。