最近の「カレー inフィリピン」 Part5

7月に入り、6月から出回り始めたライチも少し値が下がってきた。ライチは穫れてから少し日が経つと、その実の表皮の色味が少し赤みがかった潤いのある茶色から、乾いて灰色っぽくなった茶色に変わってくる。新鮮な果実は甘みとほどよい酸味があるのだが、日が経ったものも、酸味が丸くなり甘さはそのままなので、味が損なわれるというわけでもない。それでもさらに日が経つとやはり腐る方向に向かっていく。表面の色の変化は一目瞭然なので、各フルーツ店は十数粒を小袋にして、安売りをしてくれる。私の見たところ、だいたい7〜8割引の大変お買い得な値付け。
傷みはまず酒のようなフレーバーになることから始まる。甘みはまだ残っていて私は嫌いではない。さらに進むと、というのかそれとも細菌の種類が違うのか酢のようになっていることもある。これも不味いものでもないのでよほどの腐敗臭でも纏ってない限り口に入れる。

安売りのライチが買えた日、カレーを作ろうとしたら、調理台の上に置かれたそのライチが目に入り、これをカレーに入れてみようとなった。私の場合、大体こうして新しい具材や味が開発される…。

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フライドカボチャは試そうと予め決めて買ったもの。ガーリックも入れてみたが塩だけでもシンプルでよさそう。カレーに先立って揚げたのだが、予想以上においしいので試食のうちにバクバク食べてしまった。市場では、特大のカボチャ一個を10切れくらいにカットしたものが10ペソで常時売られている。

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 盛り付けて食べる…が、最近でいちばん不味い…。

食後、ノートになぜ不味くなったか書き出して羅列してみる。この逆をいけば、いつものカレーがなぜおいしいかがわかるはずだからだ。その羅列はノート一頁近くになった…。それについてはまた稿を改めて。(7/7)

 

 


 

今回もできあがったカレーを瓶に詰めた。寝かせておいしくなればいいのだが、あの味が時を経て修正されるとは思えない。
それでもなんとか、食べられる域まで持っていかなければならないので、考えられる食材を新たに追加する。

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中央左下にあるのはカシューナッツ。だいぶ前にバギオで買って温存してあったものであり、ここで投入かと封を開ける。しかし大事にしすぎて期限が超過しており、その表面に白い菌糸が回っている…。ひとつ齧ってみると、なかなかの酸味とチーズの風味。加えてややスモーキーな風味も。私の知っているカシューナッツからはかけ離れている…。果たしてこれは味をどの方向に引っぱっていくのか。さらに迷走の気配である。

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結果は…お察しください。
自分で作ったものなので責任を持って完食。(7/8)

 

 


 

 

フィリピンにもカレーはおかずの一皿として存在するが、大体のところそれは甘い。というか明らかに砂糖が入っている。 そうしたものも紹介してみようかと市場2階の食堂群のカレーを次々に食べていくことにした。
たまに食べに行っている2階の食堂もそれに似た料理が珍しくあったので訊くとやはりチキンのカレーとのこと。この食堂でカレーの類いを食べたことはなく、試してみることに。

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量はよくある小皿に盛られたもの。しかも、大小の骨が多くあり実際に食べられるのはさらに少なくなる。お味の方はというと、確かにカレーパウダーは使われているのだが、粗挽き黒胡椒多め、野菜は気持ちよく全く無し。これならチキンカレーというより、チキンのカレー炒めといった感じだよね。塩もしっかり効いていておいしい。今回は砂糖不使用。周りの油はおそらくチキンから出たものと思われる。それも食べないと一杯のご飯が無くならない。(7/9)

 

 


 

 

ビンカレーを作ってから3日後。凹になっているはずの瓶の蓋のセーフティボタンが凸になっている。そして瓶の内部には無数の気泡。これは…。 傷みが始まっている。早く食べなければ。
これまでのように炊飯の途中で入れようと瓶の蓋を開けた途端…、
モコッ、モコモコッ、なんとカレーが盛り上がってきた…。なんなんだこれは!?
しかも見ている間にもジワリジワリとその頭頂が膨らんでくる。
内部でガスが発生していたのである。初めてのことだ。
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なぜこんなになったのか。変質の要素は酸素、水分、温度。それらをカットすれば腐敗はしないはずである。今回、いつもと違ってどんなことをしたのだろうか、と考えるとすぐに思い当たった。
ライチである。水分の多いそれを加熱不十分のまま調理を終えてしまったのだ。
今回の瓶カレーが不味いことはわかっている。そこで今日はその不味さに対抗するために、ロースカツを投入しようと用意してみた。

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温めたカレーの上にそれを乗せ、食べる。カツはおいしい。しかしカレーの方が救いがたいくらい不味い。私のカレーは酸味をもたせて作っているのだが、限度を超えている。おいしいカツをもってしても、イーブンにすらならない…。

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先に作っておいた、ナス・玉ねぎ・目玉焼きのサブジを忘れており、添えて食べる。初めて作ったが塩・クミン・胡椒でかなりおいしい。というか、カツカレー全体よりもこちらの方がおいしい。

 

奇跡のモコモコカレー。(なんとか)完食しました。(7/11)

 

 


 

 

山側の隣町に何か変わったものが売っていないか見に行った。わが町にはないパッションフルーツが少数だが出回っており、たくさん買い入れ。

ここの市場の2階にも食堂群があるので、カレーを探索。小さめの体育館くらいの面積で壁側に食堂が並び、中央に共用のテーブルが多数並べられているので食堂群というよりフードコートの観である。

陳列棚の中の(フィリピンの食堂は作り置きが普通)多めの盛りのカレーの値を訊くと40ペソ。多めなのは昼を過ぎて陳列の大皿に最後に残ったのを小皿に移したからだろう。ヤングコーンも入って食べてみたかったが、やや値が高かったので、ダメ元でカラハティ(半分)はできますか? と訊くと、それが通ったようで、さらに小さな小皿に移してサーブしてくれた。

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チキンは2切れしか入っていなかったが、総じておいしかった。ここもあまり砂糖が入っていない。そうしたカレーは思ったより少数派なのか? 出会ったときのインパクトが強すぎて数的に過大評価しているのかもしれない。

カレーにヤングコーンはアリだな、今度試してみたい。最近マカティにもできたCamp Curryみたいだ。(7/12)

 

 


 

 

パイナップルにも旬というのがあるのか、フルーツセクションに置いてある時期と置いていない時期がある。
出始めは一個80ペソとかなのだが、扱い量が増えるにつれ下落、小さなものは50ペソなんかで売られている。
ドライカレーに入れるフルーツと言えば、バナナ・レーズン・パイナップルと相場は決まっており、その一角を成すパイナップルが手頃な値段になってきたというわけで、仕入れてドライカレーに使ってみよう、となった。
以前にも触れたが南国だからといって、そこに住む子供たちがフルーツをたくさん食べているわけではない。お小遣いが限られていること以上に、親が買い与えない、子供の方もフルーツより砂糖たっぷりのお菓子の方が好きだったりするからだ。
お菓子よりフルーツの方がおいしいと思うけどなぁ。

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さて今回は一個丸々購入したのだが、不慣れな人がこれの皮を剥くのは容易でない。剥いている人の作業をじっと見て、覚えてから市場を後にした。通常はこのように表皮を削ぎ切りにしてから、螺旋状に包丁を入れて”目”を取り除いていくのだが、それだと表面近くの甘みのあるところもいっしょに捨ててしまうことになる。
なので私はちょっとやり方を変えて、少し多めに実を残すことができた。

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まな板の上に切り取った皮の部分が乗っているが普通はこれの2〜3倍の量が出るはずである。
ちなみにフルーツセクションを通るとき、この切り取られたやつをよくつまみ食いさせてもらう。表皮の本当に固い部分はあとでペッと吐き出せばいい。

 

評判は上々で、途切れることなくオーダーが続き、乾燥重量700グラムほどのお米が売り切れてしまった。

f:id:taippii:20190714185832j:plainポーズをとっているのは全員ドライカレーを買ってくれた子供たち。右下で薄橙色のフロシキに包まれているのが私の釜である。

 

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私の夕食が無くなってしまうので、ストップをかけたが、わずか2匙ほどに…。

 

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売上は160ペソちょっと。量を少しサービスしすぎたかな?

村のトラックが収まっている屋根付き駐機場の竹ベッドにて宿泊。(7/14)

 

 


 

 

パイナップルはその半分を皮を剥かずに袋に入れておいたので、次の日の夕方にも作って売り歩いた。
実の黄色が薄いものはやっぱり甘みが足りないのだけれど、そうしたものもシロップ漬けにしてから使えばいいかも。

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時々 朝に乗せてもらっている村のジープの中で夕食。&就寝。(7/15)