VS.チャイナ資本

今週のお題「好きなアイス」

 

 

所持金残り:2516ペソ と4万円
(帰国旅費・ビザ更新料の取り置き16万円を除く)
予想滞在期限:2022年6月頃



Aice というアイスのメーカー をご存知だろうか。自社専用のチェストフリーザーをあちこちのサリサリに配し、ここ2年ほどで目覚ましい躍進を続けているメーカーである。100メートルと間を置かず売られているエリアすらある。私の地方だけ、ということはないだろうからフィリピン全土に遍く進出しているのだろう。
単一メーカーながら多くの種類を有し、フリーザーの近くには必ずその一覧のフラッグが掲げられている。価格もそれに明示されており、もちろんどこで買っても味は均一なので安心して買うことができる。
私も何種類か買ってみたが、10ペソのチョコ味のが糖分が多いのか口溶けが悪く口内がベトつく、といった他は、日本なんかで売られているものとほとんど遜色ないように感じられた。特に15〜25ペソの価格帯のものはかなり完成度が高く、リピートしたくなる出来である。値段自体も、既存のメーカーの同等品の2割は安く、庶民にアイスがぐっと近くなった、といってもいいだろう。

さてこのメーカー、包装を見るとMade in China とある。経済発展の伸びしろのあるフィリピンに向けて、市場を開発してそれを膨らませ続ける、といったところだろうか。
このビジネスモデルの特徴は、フリーザーと看板一式をメーカーの負担としている点である。つまりサリサリストアが負うのはフリーザーの電気代だけということになる。私は友人の野菜店にこのフリーザーの導入のチラシが入っていたのを目にし、この仕組みを知った。オーナーになれば、売れそうな種類、売りやすそうな価格帯のものを発注し、売れればその2割くらいが利益として得られるというわけだ。

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自社専用のラッピングフリーザー。公式fbより画像を引用

メーカーとしては小売の箇所が増えれば増えるほど販売機会が増えるので、日本でいうところの、コンビニの隣りにコンビニが、なんていうのも厭わず”フリーザーのセールス”にいちばん力を注いでいるだろう。しかしこのビジネスモデルで”イケる”と踏んだメーカーの営業部はスゲェなと思う。一歩間違えれば爆死である。

サリサリストアの中には、フリーザーがタダで自分のものになったというのをいいことに、ソーセージやフィッシュボールなど他の関係ない冷凍食品を入れている店もある。専用のトラックで納品に来るドライバーは一社員に過ぎないので、そんなことを咎めても自分の仕事が増えるだけなのであって、見て見ぬふりか。

売価の方も今年に入って変化が見られた。10ペソだったものがどこへ行っても12ペソだと言われるのだ。他の価格のものも2〜4ペソ上げとなっているようだ。
一店だけ値上げすると、客が他所に流れる可能性があるので、一店だけで値上げするとは考えにくい。原料費かメーカーの取り分なんかが上がって、納品のトラックドライバー伝てに、サーセン、今度から2ペソ上げで おなしゃーす、なーんてなっているのかもしれない。他は単純に電気代の値上げがあったとか。
ちなみに 海浜のリゾート近くのサリはそんなことのある前から、金持ちの利用者が多いと見たのか10ペソのものを14ペソで売っていた。商魂逞しいというべきか。

商品一覧のフラッグにはそうした価格の訂正なんて入っていない(我が道を行くフィリピン・クオリティ)ので、お店の人に訊いてみないと値段はわからない。商品もその全ての種類が置いてあるわけではないが、どこのサリでも周辺にアイスの袋が散らばっている(安定のフィリピン・カルチャー)ので、フリーザーを覗き込まなくとも どの種類が売っているのかだいたい見当がつく*1

 

私の海の村にも、その入り口(北側)のサリに去年からこのメーカーのフリーザーが置かれるようになった。
年末は子供もお金をかなりのお金を持って遊び歩くので、それを当て込んで露店を出したというのは以前書いたとおりだが( 年末商戦1日目:ドライカレー/2日目:チャーハン/3日目:ケチャップライスなど計6日分)、実はその時の最大のライバルというのがこのAiceなのである。味も良く、値段も手頃というのだから売れないわけがない。昼間にアイスを買うので、私が店を出す夕方までにお小遣いは減っていってしまう。設置してあるサリサリから村の中央へ向かう道には、点々とアイスの袋が落ちていて、勝手に「アイス街道」と名付けたそれを、苦々しく見つめたものである。

もちろん私もこうした状況に手を拱いていたわけではない。年末商戦5日目に「冷たい」食べ物、冷やし中華を投入したのはアイスに対抗しようという目論見も含まれていたのだ。しかし結果は、赤字を出さないのがやっとの大コケ。
やはり「冷たくて甘い」ものじゃないとだめかと、そこそこ利幅があって人気もあるチョコバナナパンを、「冷たい」方向に寄せていくことを考えた。
そうして、私のアタマの引き出しにあった、フィリピンの「生温かいスイーツ」に思い当たった。
え?「生温かい」、「スイーツ」? そんなの、おいしいの?
そう、不味いのだこれが。徹底的に。

以前、オーナー一家の敷地内に住んでいた頃に、誕生日のご馳走のお裾分けとしてもらったことがあった。生温かい小鉢を渡され、デザートだという。でろっとした見た目である。見た目がおいしくなさそうな料理が、おいしかったという経験が みなさんはどれほど お有りだろうか参考画像:調べたところ「ビロビロ」というらしい、名前もあまり気持ちのいいものではないな…)。サツマイモ、フルーツの缶詰、コンデンスミルク、と単体ではおいしいはずのそれらを、どうして温めてトロミまで付けようと思ったのだろう。

私はフィリピンに来て5年になるので、既にこうした料理が供された場合の対処を身につけている。水で料理を洗い、味付けをし直すのだ。誕生日によく出るフィリピンの激甘スパゲティはこれでクリアできる。
そのときは洗ったあと、手元にあったミロとチョコソースでアレンジしておいしく頂いた。そのデザートにメインっぽく入っていたのが白玉団子。市場に行って値段と量を確認して、ネットで白玉粉の扱い方をざっくり調べた。こうしてまたひとつ新メニューが生まれたのだ。

100mlくらいのカップで8ペソ。少なめの盛りで5ペソも可能だ。タホに混ざってるタピオカの小さいのも一緒に茹でて、白玉と氷水に入れておく。バナナやチョコクリームとの相性もいい。白玉粉を捏ねてちぎるのが手間だが、近所の子は私が作っているのを見ればみんな一杯買ってくれ、おかわりの子もいる。欲を言えばもう少し利益があってもいいかな…。

f:id:taippii:20210507164422j:plain写真は友人宅で作ったLsizeバージョン

 

 

半年近く前になるだろうか、村への道沿いにある民家で、相次いで「ミルクティ」の店ができた。いわゆるタピっちゃうお店である。フィリピンでは、日本より中国や韓国が身近で人気があり、看板には漢字が添えられていたりする。
隣の中核市や国道沿いなんかに出店しているのは知っているが、こんな鄙びた所に店を開いて大丈夫なのだろうかと思っていた。値段はお高いままで、カップもそこら辺で売られているものでなく専用のものを使っている。案の定、ほどなくしてダウンサイズと値下げをして、少しは買いやすくしたようだった。
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最近、村からの帰りに、貧しいながら なんでもよく買ってくれている子が父親とモーターバイクでミルクティを買いに来ているのを見てしまった。私が5ペソなんかで売っているところに、小さめのサイズでも30〜40ペソする店である。ぐぬぬ、なのである。

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子供たちはよく私の料理を買ってくれても 、その親達は親日派ではないというケースは往々に存在する。特に年端のいかないうちはお小遣いを持たせず、ねだられた時にだけ少額を渡すというやり方を取っているようだ。そうすれば、日本人の売っているものを買いたい、と言われたときに「今はお金ありません!」と断ることができる。
しかしこうした親たちも露骨な反日派、というわけではなく、他のご近所さんに日本人に肩入れしているな、と思われたくない、といった程度とも私は思っている。このあたりはムズカシイ*2
今回も、豊漁があって、子供にねだられて、まぁ「色のついていない」タピオカミルクティなら たまにはいいかと買いに行ったということではないか、と勝手に想像している。


しかし私にタピオカミルクティ如きが作れないと1㍉でも思われるのは癪である。市場へ行き、大玉の方のタピオカを仕入れた。それをメインにして冷たいチョコバナナスイーツを作ってみるつもりだ。白玉粉を捏ねなくていい分、こちらの方が楽なはずである。

少しイジワルをして、5ペソを廃し「20ペソのカップしかありません」とやってみようかと思っている。大人気(おとなげ)なー。



*1:お題の「好きなアイス」に正面から答えておくと、オススメは定価19ペソのMilk&Egg。安い価格帯のものよりミルク感が強くおいしい。包装のイメージには一切出ていないイチゴジャムが入っていて度肝を抜かれた。次点で、4層になっていることがウリのChocolate Crispy。ナッツもまぶしてあり食べごたえがある。第三位は12ペソのメロン味。結構クリーミー。子供の頃に食べたオバキッドのアイスを思い出しホロリとしてしまった。番外で、いちばん最近に出たあずきモナカ。隣の市で見て、新商品だ!と 飛びついて買って食べたのが、私の前歯をへし折っていった…。モナカ1ヶ800ペソ也。トホホ。

*2:割合として一番多いのは「表面的親日派」。いつもはフレンドリーに「ハロー、My friend!」とか言っているくせに、小さな頼みごとでも急に余所余所しくなって尻込みしたりする。お前もか、と少しイラッときてしまう。
次に多いのが「表面的反日派」。いつもは目も合わせてくれないのに酒が入ると、「Come! One Shot!(一杯飲んでけ!) 」とか言って話の輪に少しだけど加わらせてくれる。男性はこのタイプが多い。あぁ、本当は仲良くなりたかったのか、と少しほっこりする。しかし翌日 酒が抜けるとやはり挨拶もしてくれない(泣)。酒の肴になっているだけなのかもしれないが、まぁそうでもいい。
割合で言うと5・3・1・1。後ろの「1・1」はそれぞれ「親日派」「反日派」ということである。反日派といっても石を投げられるわけじゃないけどね。「非日派」くらいか?