フィリピンローカル、畑の中の生活

今週のお題「告白します」

 

 

 

実は今、「電気」・「ガス」・「水道」の無い生活を送っています…。

 

 


 


以前から借りている畑に、竹で組んだ「屋根」と「囲い」を自前で建てて移り住んだのが昨年の10月。そのことを書いた記事の最後に、住心地の方はどうか、と結んだわけですが、今回は引っ越しから5ヶ月経った生活の様子を上の3つを絡めて 少し紹介していきます。

 

f:id:taippii:20210224135106j:plain
組んだ竹にビニルシート・バナナ葉などを張った屋根。最近になって中央部が裂けてきてしまった。下向きに窪んできたなと思ったらニワトリが時々乗っているよう…。割れた卵も落ちてきていたので、見てみるともう一つ卵があった。どうしよう…。

 

まず電気が無いのですが、初めの頃はどうなるかと思っていたのですが、今では それほど不自由に感じていません。

・冷蔵庫 … 日本に居た頃は、仕事から帰って、冷たいジュースなんかを1リットル近くガブ飲みするのが夏場の唯一の楽しみでしたが、フィリピンに来てからは、ほとんどの期間 冷蔵庫無しだったので、今ではぬるい水を飲む生活に慣れてしまいました。よほど冷たいものを飲みたいときはビンのコーラが240mlで10ペソ(為替レートはこちら)サリサリストアに売っているので月に1、2回買って飲みます。塩を少し入れるとおいしいので いつもそうしています。
氷も 水を袋に入れて凍らせたものが5ペソで売られているので 必要なときはそれを買います。現地の人はコンクリの壁に叩きつけて砕いて使うようです、ワイルドすぎる…。

エアコン・扇風機 … 子供の頃はエアコンのある父の部屋が天国のように思えたのですが、一人暮らしになってからは、エアコンも扇風機もあまり使わずに団扇で凌ぎ、どうしても暑いときは行水をするといった具合だったので、フィリピンでも同様に不要でした。こちらでは多くの人が一晩中扇風機をつけっぱなしにして寝ます。蚊を追い払う意味もあるのかもしれません。エアコンは工事の簡単な一体型が主流で、裕福な家についています。少し寒く感じる夜も稼働してたりするんですが何なんでしょうね。まぁ、冷房の効いた部屋で毛布にくるまって寝るのはサイコーですからね。あぁ、炬燵でアイスを食べたいなぁ。

携帯電話 … 市場で知り合った日本語を話せるピーナちゃん(私より少し年上)からタダで貰って使っていましたが、ビジネスパートナーとしての関係は終わり(過去の記事)、ロクな電話がかかってこない(お金貸してとか)ので、どうしようかなと思っていたところ、チャージ差込口が壊れたのでお払い箱に。他の友人との連絡はEメールやSNSがあるし それで十分。今日来れますかといった文面をその数日後に開けることになるのがやや難点でしょうか。ちなみにフィリピンの人と日を跨いだ約束はできません。商用はどうかわかりませんが、友人同士なら 十中八九すっぽかされます。

パソコン … フィリピンに来てからは、もっぱらネット店を利用しており、家には不要です。1ペソで5分なので1時間では12ペソ(計算すると同じお金で日本の15倍くらいの時間、ネットできますね…。)。エアコン付き・ハイスペックなパソコンのある店では15〜2ペソです。ロックダウンによって全ての店が休業となったときにはかなりキツかったです…。そこから2、3ヶ月経ち、看板を掲げない、半ばモグリのような店が市中で復活してきた時は、これでロックダウンは明けたも同然だぜ、と喜んだものです。

TV … こちらに来て あった時期もありましたが、メインはタガログ語なので、何を喋っているのか ほとんどわかりません。ドラマも多くやってますが、そんな調子なので、主にニュースを見ていました。しかしそれは、毎日似たような内容ばかりで、CCTV(防犯カメラ)の強盗の映像、汚職による役人の逮捕、ドゥテルテ大統領の動向(だいたい吠えている)、首都圏の渋滞、といった一連のものです。これに時々、中国問題、台風の情報、食糧(輸入)問題が加わるといったところでしょうか。ファミコンをつないで遊んでいた頃もありましたがそれも壊れてしまいました。電気の「質」が悪いせいかもしれません。

デジカメ … 今 持っている家電製品らしいものはこれくらい。USBでも充電できるので15ペソ/hのネット店でチャージしています。他に、私に借金のある友人や お客さんのお宅の電源を借りたりもできるので、これも自宅の電気は不要です。

照明 … 残る最後は、夜間の灯り。電球を取り付けるのだから、電気が無いわけにはいきません。しかしこれをカットできれば、電線を引いたり、電気代を支払ったりということが無くて済みます。いちばんに考えたのが懐中電灯などを使うこと。天井から吊るしたりすれば、読み書きや簡単な作業は夜間でもできるでしょう。引っ越しの前月、市場近くのDIYショップで充電式ライトが通常の半額近く、80ペソで売られていたので迷わず買いました。さらに、停電となったときに市場の精肉部・鮮魚部がロウソクを灯して営業していたのを思い出し私も試してみることにしました。これが思いのほか明るく、じゅうぶん実用可能と判断。当面、ライトとの二本立てでいってみようと現在に至ります。
もちろん、引っ越す前から、無電気生活を考えていたわけではなく、畑の隣に しばらく前に越してきた人が運良く電力量のサブメーターを持っており、それを使ってそのお宅から電線を引いて、料金を按分して支払う、といった算段をしていました。(一般の人は分数もできないのですが どうやってこうした計算の問題を解決するのでしょう?)しかし、上のとおり 現状で支障ないようなので、電気無しの生活です。日が沈めば寝て、日が昇れば起きる、という健康的な生活。
睡眠時間が長すぎてもよろしくないということなので、日没後1〜2時間、日記をつけたりして過ごします。そのライトの方ですが、不良品だったのか、過放電が良くなかったのか、2ヶ月ほどで充電できなくなってしまいました。しかし僅かなLEDの光はそれ以上弱くならないらしく、ノートの2、3行くらいが照らされるそれを使って書いていきます。読むのはちょっとつらいけど、書く方は罫線が見えればそれでいいので いけるようです。
夜遅くまで開いているネット店もあり、8時台までそこで過ごすこともあります。そうした時の夕食は、24hオープンのパンデサル専門店でそれを5個ほど買って(10ペソ)、フルーツなども食べて済ませます。

ガスの方ですが、ガス台は村の方に持っていったので、畑にはありません。お客さんに料理を作るのに、炒め物なんかが煙臭くなる心配がないし、火加減も容易、なんといっても火をおこす手間暇がかからないので村での仕事用となっています。

f:id:taippii:20201218172154j:plain
台車も村に持っていったので、その代わりとして食材を置く棚を作った。バナナの運搬箱を市場のバナナ商から買って連結させたもの。キッチン台は別にある。


畑では竹などが生い茂っているので、乾かしておけば薪に困ることはありません。バナナの木(草本)も多く、その枯れ葉にマッチを擦って火を着け、竹の細い枝をいくつか折り返して針金で束ねておいたものを炙り、最後に太めの竹や薪を乗せるといった順で火を起こして煮炊きをします。灰はそのまま畑の肥料になります。

f:id:taippii:20210222130030j:plain
炉のすぐ傍にあるナスの株。大きな実が5つぶら下がっている。

f:id:taippii:20210224135009j:plain
畑の様子。数えてみると30種類もの食べられる植物が植わっていた…。
大した額ではないが茄子や唐辛子の苗の販売もしている。

 

水道もありません。裕福な順に
・公設のメーター付き上水道を使う
・自前で井戸を掘り、揚水ポンプと貯水タンクを設けて蛇口をひねる
・井戸の脇に人力ポンプ(2000ペソ)を取り付ける
・井戸に竿を下ろして汲み上げる
となっていますが、私はいちばん後者です。畑の井戸には人力ポンプが付いているのですが、逆止弁が壊れてしまい そのままになっています。自力で汲んだほうが早いし運動にもなるのでそうしています。洗濯も一人暮らしの頃から手洗いの期間もあったので洗濯機無しでも問題ありません。
飲料水の方は、近くの水屋さんがなぜかずっと ご厚意で無料となっております。時々 お菓子や料理で返礼をしています。

 

というわけで、現在 私は電気・ガス・水道の無い生活を送っています。これは、フィリピンの大多数の人より貧しい生活のはずですが(極貧でなければ TVと扇風機があって、毎日冷たい炭酸ジュースを飲んでいます。もちろん室内灯もあります)、働きたい時にだけ働き、自分が作ったものをおいしいと言って食べてくれる子供たちがいて、私も日本で作っていた時より おいしい料理が作れるようになり、畑ではキッチン台から10歩圏内で10種類以上の野菜が穫れる。多少の制約はあるのかもしれませんが、日本でこれ以上の幸せを探そうとするのは、少なくとも私にとっては かなり難しいように思われるのです。

 

 

 

f:id:taippii:20210220180144j:plain
子供から借金のカタとして頂戴したフルーツも入った、マカロニスープカレー
畑からは芋の蔓、苦瓜、キューリ(ピクルス)、蔓豆、茄子、ピーマン、唐辛子、レモンバジル、ウコン、ヨモギが入った。

f:id:taippii:20210221083426j:plain