年末商戦1日目 ―― 村での販売を本格的に再開させて、フィリピン生活の黒字化なるか

12月24日。

3年ほど前に製作して少し使っただけ(以前の記事(の後半))の、キッチン台車を今年の年末商戦に投入しようと、前日までに再整備を終わらせた。自家用として使っているガス台も搭載させて、薪焚きの手間や煙臭さも解消とする。
午後4時ごろか、私がメインで寝起きしている畑の小屋もどき(以前の記事(の後半))から、台車を柵を越えさせて出発。急ぎたかったが小さな車輪で道も良くないためゆっくりゴロゴロと引くしかない。しかし村道に出てほどなく、知り合いの親日派のトライセクルドライバーが通り、声をかけてくれた。ありがたいことに村まで台車ごと送ってくれるという。

村の入り口まで着き、料金を、と言うが固辞され無料となる。後で返礼要。
村の東寄りを経由して原っぱの状況を見る。先日から、村へ行くときは夕刻の原っぱの様子を確認するようにしている。どの日も、日が西に傾くと涼しくなるため多くの子供達の走り回る姿が見られ、それに対し出店は時々フィッシュボール店が来るだけ。今年も多くの子供達が買いに来てくれるはずだ、と皮算用していた。

しかし本日来てみると、やけに子供が少ない。首を傾げながら、調理器具など一式を置いてあるレントスペース(以前の記事)まで到着。
台車に積み込みをして東の原っぱへ行こうとしたが、どうも様子が気になり、先に歩いて見に行った。すると、なんということか、広い原っぱに子供が二人座っているだけ…。
これでは子供の前で調理実演をしてさらに集客を増やすという目論見が外れてしまう。ゴロゴロと台車を引いて行っても仕方がないので、今までも時々していたとおりレントスペースの前で調理して村内を売り歩くスタイルに変更することに。


調理をしていると、近所の馴染みの子がやや興奮した面持ちで駆けてきて、村の西側、海沿いにあるリゾート施設が、なんと現金200ペソを配っているという。手にはその現金とキャンディなどのお菓子、プラスチックのおもちゃが握られている。
東の原っぱに子供が居なくなったのはこれが原因か、ぐぬぬ、となる。立てた計画を丸潰しにされ、腹を立てながら野菜をカット。

そのリゾートは、日本の新しい元号が冠された、日本資本の小規模リゾートで、20メートルくらいのプールに加え、半年ほど前からトゥロトゥロ(作り置きの簡易食堂)とサリサリストアも開店させている。高齢の日本人男性の所有ということで、何人かの村の人から噂は聞いていたが、わざわざ会いに行くこともないかとそのままにしていたし、脇を通るときにちらりと中を窺うこともあったが日本人らしい顔を見ることはなかった。まぁBossが表に出ることは少ないだろうし、ましてコロナ禍となった現在では日本に帰っているのかもしれない。

他の子にも話を聞くと子供だけではなく、大人にも現金を配っているらしい…。 マジかよ、と炊飯の火を付けたところでリゾートの様子を見に行った。
リゾート前の門には、降って湧いたレイワ・マネーに多くの子供と大人が集まり騒然としている。

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200ペソといえば大人の半日分の給料に相当するわけだ。これは純然たるバラ撒きであり、あまり良い趣味とは私は思わないが、宵越しの金は持たないとしている人たちには、金の出処など気にかける対象ではないのだろう。

 

持ち場に戻って調理を再開。200ペソなんてたった400円ちょっとじゃねーかチクショウ、なんて毒付きながら、肉や野菜を炒めていく。
東の原っぱには子供は居ないが、考えようによっては、多額の現金を持った子が村内に多く居るわけで、パヒギ攻勢(前回の記事参照)の分も併せ購買力は増しましになっているはず、商機の方は相変わらずあると気を取り直して行商の準備を終える。

リゾート周辺にまだ人が居ればそこでたくさん売れるかも、と小学校のフェンスに釜を針金で留めて売っていたのを思い出し、針金も用意して向かったものの、貰えるものを貰ったらもう用は無いということか、夕闇の門の前には 人っ子一人 居ない…。 他人の褌で相撲を取って、負けた、みたいなシュチュエーションにまたも ぐぬぬ となったが気持ちを切り替え、村内を回る。

諸々のことで出鼻をくじかれ時間は遅れている。しかし、今夕の完売とならなくとも、翌朝にも売れるのだし、たくさん余ってしまっても氷を買って、翌朝に蒸し直しをすれば昼にだって売ることができる。
東の原っぱへ向かったところ、子供はまぁまぁ戻ってきており、月明かりのもと、ペンライトを咥えてサーブ。
いつもはウータン(借金)を頼んでくる子がたくさん居るが、レイワ・マネーなのかどうか、本日は現金買いがほとんどだ。ドライカレーの量は十分あるにも拘らず、このメニューはかなり久々なので(カレーライスはレントスペースの近くで週一、二回作り続けていた)、我先にとあちこちから声がかかり、手が伸びる。

一段落したところで村内を回るがこちらの方は今ひとつ。クリスマスで財布の紐は緩くなっているが、さすがに時間が遅すぎてご馳走は既にテーブルの上に並べられている。

村はトタン屋根の家々が密集しているのだが、数軒おきにはクリスマスを祝う飲み会が開かれており、漁師さんの集まりと思われるところには、日頃 早朝の浜で売り物にならない魚なんかをくれることがあるのでその返礼と私の名刺代わりも兼ねて、少しだけだがお皿の空いたところにドライカレーをFreeと言ってサーブしていく。
あちらからはジンを勧められることも多く、飲んだり断ったりして各所を回る。

村内を二巡してレントスペースに戻ってからも近所の子が買いに来てくれたりしたが、やはり時間が遅かったのがネックとなって、少し多めに余ってしまった。夕食は新顔の具材、シニガンの入ったドライカレーをたらふく食べることになったのだが、お腹いっぱいにまで食べると当然 利益が減っていく。翌朝はたくさん売れるのだろうかと心配しながら、くたくたになって、浜にある仲良くなった村の男性の小屋まで行き、竹の机の上で就寝。

 



翌朝は夜明け前に起きてレントスペースに戻り、釜の中に水を足して蒸し直して 村内を売り歩いた。こちらは好調で、朝食を終えたはずの時間になっても子供からの注文が続き、私の朝食の分は残ることなく完売。

気になる売上の方は現金で306ペソ、ウータンは17ペソなので合わせて323ペソであり、前出の月に5000ペソの収入があれば、という話は利益ではなく売上をベースにしているので、300ペソ以上の売上があるなら月に20日弱、このような仕事の日を入れればいいということになる。

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ちなみに、コストは180ペソなので、利益は289ペソ。
自家消費は40ペソ分、Freeは45ペソほど。この分は本来なら販売に振り向けてもいいものであり、利益はさらに上積みされる。


こうして年末商戦1日目(プラス翌朝)は終了。

写真は現金バラ撒きを最初に知らせに来てくれた女の子が2Fに遊びに来たところ。

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おもちゃのホワイトボードに向かって真剣な眼差しを注いでいるが、描いているのはタダの落書き…。
裏面は黒板になっていてチョークも付属している良いものだが、フィリピンの子は全くものを大切にするということがないので、一週間もしないうちに飽きてしまって捨てるか失くしてしまうだろう。ウータン相殺で買い取って、お品書きに使えないかな…

 


つづけて2日目も書こうと思ったけど長くなったのでまた今度。