日本人の勤勉さとフィリピン人のぐうたら加減に感謝

今週のお題「感謝したいこと」

 

 

早いもので私がフィリピンに来てからもうすぐで5年になります。来た頃は異文化の中で何にでも興味関心を持ち、ネットで調べたり考えたりしましたが、そうしたもののひとつに、なぜ一日の労働の対価が日本とこんなにも差があるのかというのがありました。

 

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 マニラの新聞店。猫を数えてみると新聞の銘柄より多かった…


フィリピンにも最低賃金の定めがあり、マニラ首都圏は500ペソ台ですが、ローカルは400ペソ前後、しかもそれすら守られていないことが多く、二食か三食ついて250ペソや300ペソというのはザラにあるようです。
仮に今、日本で働いて日給が9000円だとしましょう(日本を離れているのが長くなってきたのでこの額面がどのくらい妥当なのかわからない)。そして例えば、私の近所でチキンのドラムスティックのフライをを30ペソで売っている(やや小ぶりだが揚げたてはなかなかおいしい)のですが、これをフィリピンローカルの日給300ペソでは10本買えるというところを、日本の日給では、それをフィリピン通貨に替えると ざっくり4200ペソ、14倍の140本買える(!)という計算になります。

 

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 マニラで借りていたベッドスペース(1500ペソ/月)のC.R.(浴室兼トイレ)。 水圧は低く、ゴキブリは這い、床はぬめっている。水道管を通ってくるので井戸の水より冷たく感じるのがやや難か。 4、5匹の飼い猫はここでウンチするのでそのまま残っていることもあり少し臭い


なぜ同じ一日の労働をして(フィリピンにもゼブンイレブンはあるので、「コンビニの仕事」というのは日本と同様にある)、こんなにも多くの労働価値の差が生まれるのか不思議に思いました。東京と地方の時給の差が、という話が霞んで見えるほどです。
もちろんその差というのは、円を持ち込んで両替した際の為替レートに直接的には拠るものなのでしょうが、ではその為替レートはどうやって決まるのだろうか、とググってみました。私の見る限りではその通貨にどれだけ”需要”があるか、ひいては”信用力”があるかということでした。なるほど円はドル・ユーロについで信用力があり、ちょっとのことでは暴落(極端なのではジンバブエドル)しないものな。それに比べフィリピンのペソは政治や経済の混乱があったらその余波を受けやすい、と考えられているということでしょうか。

 

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 マニラの中規模ショッピング内のイートスペース。どの台も食べ終えたあとはこのような状態。ソースやご飯粒は散らかり放題。初めて見たときは唖然とした

 

こうした話は、二国間・多国間を比べるから出てくるのであって、日本が勤勉なだけでは成立しません。フィリピン人がさほど働かないというのがあってはじめて、私が丸々と太った10〜15本のバナナを50円弱で買える、という状況が生まれるのです。
というわけで、フィリピンの皆さまにも半分は皮肉で、半分は本気で感謝感謝、ひきつづき ぐうたらな働きぶりでいてくれれば、私の生活は安泰、というわけなのです。 

 

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 路傍に出現した奇跡の泉。 漏水率・盗電率という言葉がまだ生きている修羅の国、フィリピン。