フィリピン、畑でごはん。

今週のお題「鍋」

 

最近、毎朝食べているのは「かんたん炊き込みカレーご飯」。

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アルミの鍋(釜)で、畑で竹などを薪にして炊いている。入っている具材はすべて自分の畑でその朝に摘んだもの。

 

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この日は、苦瓜、ストリングビーン(蔓豆)、カトゥダイ(地元で食用とされている白い花)、カボチャの花、芋の蔓、赤唐辛子、フェンネルの葉。 まぁ、毎日同じようなラインナップだけどね。

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それからタンパク質を摂るために、温泉卵も 空き缶に卵と水を入れて火の傍に置いて作る。このカトゥダイもそうだが、バナナやマンゴーなど フィリピンにはほとんど面倒を見ずに採るだけという農法が存在する。こうした作物がフィリピンのややぐうたらな国民性を支えているのだろう。

 

さて、塩も加えて炊きあがったご飯に、カレーパウダーと市販のウスターソースをかけて食べる。オイスターソースをかけても少し甘くなっておいしく食べられる。f:id:taippii:20201117082849j:plain

(↑ 左端のカレーパウダーの容器は西成で拾った麦焼酎のもの。フィリピンのプラ容器は密閉性がないので使い物にならない)

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食べてる途中で追加したのは糖漬けのみかん皮と桑の実。マニラのインドグロッサリーで買ったカスリメティを振って食べることもある。

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南国であり、雨天などよほど涼しくなければご飯が傷むので炊くのは二食分まで。そしてカレーご飯を作った日の昼食は決まってチャーハン。ゴマ油、五香粉、オイスターソース、干しエビ、白ごまなどを入れ、長粒種ということもあって毎回パラパラにおいしく仕上がる(ご飯がおこげになってしまったときは中華風雑炊にして食べる)。前にし村でも作ったところ、以前ロフトにぶら下げてあげた女の子は、(4時間かけて作っている)ビンカレーよりおいしいとのご発言を頂いている。 …マジかよ。

フィリピンの「フライドライス」というのは、冷やご飯に着色料たっぷりの輪切りウインナー、ニンニクと人参といった具が申し訳程度に入ったもので、味付けは塩と醤油を少しだろうか、くどい食べ物の多いフィリピンにおいては珍しく薄味である。きっと白ごはんと変わらない位置づけということなのだろう。まぁ、そうしたものと比べると私のチャーハンはおいしいということになるだろう。
フィリピン最大手の中華レストランチェーン「超群(チョウキン)」でチャーハンを食べたことがあったが、ゴマ油も五香粉も入っていないようで全くおいしくなかった。この店だけかと念のため店を替えて再び食べたが同様だった。ちなみに、一店目では長さ数センチの太めの竹串が混入しており、二店目は厨房にオーダーが通ってなかったらしく30分近く待ってみた、ということがあった。安定のクオリティである。

 

話が逸れてしまったが、この畑というのは以前 焼き芋を作った所で、実は今、私はここで寝起きをしているのだ。

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引っ越ししたのは10月末。以前の部屋を数日がかりで空っぽにした。畑も同じ大家さんの所有で、徒歩で2分ほど。遠くはないが、荷物が多く、その仕分けと運び入れにに数日を要した、ということだ。

引っ越しの直接の原因は、大家のおばちゃんとケンカしたことである。私の不在中、「逆さま草履」を勝手に焼却処分にしたのだ。f:id:taippii:20201120112049j:plain

以前にも玄関前の私物を勝手に捨てられており、この草履はゴミじゃないと釘を差しておいたにもかかわらず、この有様である。前々から小さな衝突はあったのだが、これ以上 私物に触れてはかなわないを引き払うことにした。

この逆さま草履なのだが、歩いてるだけで、新しい草履や、Tシャツやお金が貰えるという、ドラクエでいうと幸せの靴みたいなアイテムなのである。私はただ自分のお財布と環境への負荷抑制を目的にこうしているだけで向こうが勝手に貧しいと勘違いしてくるのだ。
もちろんその際、私はお金を持っている、貧乏じゃない、と説明を入れるが、そんなことで収集がつくものではなく(無理して見栄をはらなくてもいいよ、みたいな顔をされる)、問答はほどほどにして、くれるということなのだから貰うことにしている。十分なお金があるのに見すぼらしい格好や生活をするとは、「宵越しの金は持たない」というフィリピンの人には夢にも思わないのだろう。

 

さてその引越し先の「家」だが畑の地内に掘っ立て小屋を自力で建てたのだ。フィリピンで小屋はクボクボと呼ばれる(いま検索してみたところ、竹を主に使って作った茅葺きの小屋を指すようだ。私のはただの小屋か?)。荷の搬入と並行して少しずつ屋根を作っていった。

建築の方が遅れ、屋根を上げたのは10月末日の27時…。荷物運びも合わせ、最後の日は普段の数倍の量の仕事をしてクタクタになり、次の日は一日中横になっていた。

以下、建築の工程。

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草むしりをして地均しする。

 

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拾ったシーツを切って縦長に開いて目隠しに使う。右側には村でお隣さんの改築のときに出た不要の竹材を張った。

 

屋根の製作に取り掛かる。
まず初めに、使う竹の材料を全て括り、片手でその片端が持ち上がるか試してみた。なんとかいけそうで、要領よくやれば一人で屋根を上げて柱を差し入れられるだろうと見積もった。

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竹を、海岸のリゾートの建築現場で拾った針金と、薪の角材の灰から拾い上げた釘で組んでいく。

 

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茅を乗せようと思ったのだが防水能力がよくわからないのと工程を省くため、ビニールシートを使うことにした。下にはシートが弛んで雨水が貯まるのを和らげるため浜で取った昼顔?の蔓を張った。大きな弦楽器みたいだ。

 

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コロナ禍のなか、店舗窓口の遮蔽用として文具店で売っていたビニールシートを張る。仕入れ価は150ペソ(300円ちょっと)。建てるにあたって支出したのはこれだけである。あ、幅広のセロテープも買ったのだったか、25ペソ。

さらに蔓を補うためにバナナの葉っぱを配する(忙しかったので写真なし)。ここまでくるとバナナの葉が経時でどういった変化になるのか、私も見たことがないので、吉と出るのか凶と出るのか全くわからない。

 

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シートだけだと紫外線ですぐに傷んでしまうので、これまた海岸や道端で拾ったシーツを何枚か縫い合わせて被せる。それを結びつけるのは浜で落ちている漁具用のビニールワイヤーである。これは耐候性があるよう。
そして最後に屋根の片方(写真奥側)を持ち上げ、片手でキープして、空いた手の方で柱を引き寄せて、予め掘っておいた地面の穴に差し込み、屋根の角をV字カットしておいた柱のアタマに乗せる。屋根と柱が倒れないように注意しながら反対側へ移動し、2本目の柱も同様にして片側を完了。

 

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3本目、4本目もそうして屋根を一人でなんとか上げることができた。
バナナ葉などを加えたことで、持ち上げられるギリギリの重量になっており、一歩間違えれば、日本人が小屋の建築中に圧死、なんてニュースになり兼ねない。日本で働いてた仕事の修羅場を思い出したりした。

柱が傾いているように見えるが、現在は修正して竹などで外の柵やカトゥダイの木と連結してある。既にこれまで二度大きな台風が来て結構な風が吹いたが、周りの木々が風防となったこともあって、被害は全く無かった。これで大丈夫なら当面大丈夫だろう。
ただし、虫やネズミがビニールを食い破ったりしたらすぐに雨漏りとなるので、濡れて困るものは別途ビニル袋に入れておかなければならない。

 

ともかくこれで、長年の懸案事項だった高めの家賃(2000ペソ)を300ペソに抑えることができた。フィリピン人平均だいぶ下の支出で生活を送る、ということになっていると思う。

気になる生活の「質」の方は稿を改めて。