カレー諸問題 (1)

 

f:id:taippii:20190811131233j:plain

カルダモンはそのままテンパリングするのがいいのか?問題

高原都市バギオでカルダモンを手に入れたあと、それについての情報をネットでざっと見た。鞘の中にゴマのような種が入っていて、鞘にはそれほど香りはないとのことだった。実際に鞘を切って開けてみるとそのとおりゴマ粒のような種子があったので、胡椒をそうするように少し刻んで他のスパイスとテンパリングして使った。「なにこれ超おいしー!」と書いたのは4月の末のこと。

私はカルダモンの香りがすっかり気に入ってしまい、いまではこれ抜きでカレーを作ることはまず考えられない。もしお店でカルダモンの入っていないカレーです、とテーブルに出されたら、「え? カルダモン無しでおいしいカレーが作れるんですね、スゴイですね!」ぐらい言って殴られるくらいの自信はある。

そのあとまたネットを、スパイスカレーの作り方ということで見ていると、どのレシピ・動画も鞘を丸ごと油の中に入れているではないか…。 え? そうなの?

いま改めて検索してみても、粒をそのまま入れて食べるときに取り除くというのが主流のようだ。もちろん鞘ごと食べるのも自由なのだろうが、その半粒噛んだだけでふわっと口の中に広がるあの香りが十倍、二十倍となって口内にやってくるというのは想像しただけでも強すぎやしないか。
逆に、カルダモンの鞘を取り除いてカレーを食べましょう、というのは種の粒を噛んだときだけはっきりと前面に出てくるあの香りが無くなるというわけだから、こちらはもの足りないように思われる。もちろんカレー総体としては仄かにカルダモンの香りを纒っているわけだからそれでいいのかもしれないが、それなら使うカルダモンの数を減らして刻んだうえで調理すればいいのでは、と思ってしまう。ネット上の動画などでは私のいつも入れている数の倍以上が投入されている(私はいつも1個か2個しか入れていない)。

しかし、考えてみると私はホールのスパイスのほとんどのものを刻んで使っている。クミンもフェンネルも刻んでテンパリングしている。これは初め使ったときに噛んでしまうとそのものの味が強すぎる感じを受けたからだ。これらも海外の動画などをみても刻みましょうというのは今まで見た記憶はない(炒ってすり潰すというのはあった)。
特にクミンはきつく感じることがあり、自分の好みといったことにはなるのだが、よくよく刻んで入れるくらいが丁度よく味わえる。
シナモンにしたってホールのものを調理の途中で取り出して、その半分ほどを包丁で削るように刻んで、入れ戻している。

ここまで書いておいてなんだが、実はカレーパウダーも入れている。ターメリックが時々手に入らないことがあるのと、やはりバランスがよくなるかなというのがあるためだ。
しかしこれでは「スパイスカレー」ではなくせいぜい「セミ・スパイスカレー」といったところ。まぁ括りをどちらにしてもおいしいからいいのだ。

それから、テキスト通りにするなら全てのホールスパイスを大きなものから順に入れていくのだが、私はカルダモンとコリアンダー(これも刻んでいる)は人参などの野菜を入れる直前か同時に油の中に入れている。柔らかい系の匂いだからその方が後まで長持ちしそうな気がするからだ。しかしこれにしたってどれにしたって、二つの手法で作り上げたカレーのお皿を並べて食べ比べしてみないことには、正確な感想を持つことはできない。さすがにそのような作業は面倒なので、「と思う」はいつまで経っても「と思う」のままである。

それにしても、カルダモンはそのままテンパリングするのが正しいのか?
一度試せばいいのだろうが、どうしても良い仕上がりになるイメージが持てないでいるので、当面トライすることはないだろう。