最近の「カレー inフィリピン」 Part1

ドライカレーは生業として時々作っているのだが、じゃあカレーライスは作れないのかと検索をしてみたのが今年の3月だか4月だか。結構簡単に作れるということがわかり、近頃は週に1〜2回くらいのペースで作っている。というわけで、「最近のカレー」を写真とともにお届け。

初っ端から番外編のような感じになってしまうが、まずは半年ほど前に買ってあったインスタントのカレーうどん。市場で法蓮草が安く売っていたので 今こそ卵を割るときか、と開封

f:id:taippii:20190324151146j:plain
とろっとしたつゆに、辛味と甘みのバランスがよく、スパイスもビシッと決まっている。日本のクオリティすげぇ、と思わず唸る。ちなみにフィリピンにしばらく住んでいるとインゲンが料理に入っているだけでフィリピン料理っぽく見える。f:id:taippii:20190324143514j:plain
購入価格は58ペソ、マニラ首都圏パサイ市の日本食材店にて。正麺シリーズが日本でいくらで売られているかは知らないが特売価格298円とかはありそうなので、仮に@58円としてこれの単位だけをペソに変えた場合がこの58ペソ。現在 1ペソは約2.2円なので、日本で売られているものの2.2倍の@約128円ということになる。首都圏の日本食料品店では輸入したものは2.5倍から3倍くらいとなっているのが普通であるが時々それよりやや安くなっている場合がある。目ざとくそれを見つけたので奮発して(?)3パック買った。
今度はこの58ペソというのをフィリピン側から見てみよう。小皿の肉の料理と茶碗一杯のご飯で30ペソ(田舎の安い食堂にて。日本の定食屋の漬物くらいの小皿に肉料理がほんの少し盛られているだけ)。これが二回食べられるので、まぁ贅沢の部類に入ってくるか。同じ田舎の食堂でも店を選べば、上等の部位が使われて1.5〜2倍の盛りで出てきてご飯をおかわりして、という感じで60ペソとなる。(3月24日)

 

 


 

 

高原都市バギオの、輸入食材を扱っている店に、セロリシーズが切れそうになったので久々に買い出しに行くことに。他にも何かいいものがあるといいなぁ、と着いてみると カルダモン、フェヌグリーク、カレーリーフひよこ豆まで並んでた…。見つけるたびに「あっ!」と小さく声をあげてしまった。お手製ウスターソースのためにデーツも探しておりそれも同じ店で揃ってしまった。200ペソと高額だが買うしかない。種を蒔いて数年後にデーツを大収穫、というのを目論んでいる。他、アラビアンな?「セブンスパイス」と書かれているものと、四物に入っている根っこの薄切りのような漢方薬のひとつも買い入れ。ひよこ豆は200ペソ/kgということなので1/4kgのみ入れてもらった。
クミン、コリアンダーはもう持っているし、これでカレーをスパイスから作ることができるはず。
f:id:taippii:20190406091149j:plain

手書きのレシートの総額は533ペソ。料理、値上げすっかな…。(4月5日)

 

 


 

 

3月から5月はフィリピンでは選挙のシーズン。村に着くと子供も含め人影がまばら。みんな演説会に出掛けていったとのことなので私も向かう。海の村の近くのリゾート施設でバスケコートを貸し切っての演説会を行っているのだ。
会場脇では村の主婦たち何人かが飲み物や軽食を売る臨時の売店を設けている。とても主催者やリゾート側に了承を得ているとは思えない。私も出遅れはしたがその近くで参戦。
ちなみにこのイベントは演説会の体裁をとっているが、内容は「バラマキ」に近いものや子供のダンスコンテストなどエンターテイメント性が強い。
会場を少し外れるとかなり暗く、初見ではよくわからない料理となっているが、それでも子供たちは買っていってくれる。私の作るものならまぁ間違いはないだろうということだろうか。ナイロンの小袋を切ってシート状にして子供の掌にどんどんサーブしていく。最小のオーダーは5ペソ。おかわりやウータン(借金・後払い)の子も。大人たちから見たら、外国人が暗がりで得体の知れない食べ物を子供に売っている、ということになる…。大丈夫なのだろうか。
f:id:taippii:20190428120256j:plain

4/28

写真は屋根付きバスケコートとその脇の正規の?売店。 別の所にはクーラーボックスとプラスチック椅子だけの「臨時売店」がいくつか。 

 f:id:taippii:20190428192132j:plain

この日も自分の食べる分を残して完売。カルダモンを初投入、なにこれ超おいしー!(4月28日)

 

 


 

 

 カレーは作れるようになったものの、もっと手軽に一人分のカレーを食べることはできないかと考えたのが、というか思い出したのがイワシ缶詰のカレー。開缶してカレーパウダーと乾燥させておいた粗刻み赤唐辛子(畑から収穫)を入れて混ぜるだけで簡単においしいイワシカレーができあがる。それだけでは芸がないので、炊飯時にいっしょに野菜と豆を入れる。フライパンを使わないのでひと手間省けている。写真はじゃが芋、人参、コーンと金時豆の入ったもの。金時豆は長時間浸水しておいてもご飯といっしょに炊くだけでは柔らかくならず、最近は別の豆を使っている。先日たまたまネットで見かけたところ、その豆は黒目豆といってカレーの本場、インドでもちょくちょく使われているらしい。80ペソ/kgにて仕入れ。
f:id:taippii:20190424121950j:plain

現地に来て教わったのだが、缶の開け方は写真のように包丁を突き立ててもう片方の手で缶とともに少し持ち上げて、その状態で軽く机に打ちつける、というのを繰り返す。そんなことをしたら刃がこぼれてしまうのではないかとなるが、フィリピンの包丁はどの家庭のも鈍(なまく)らなのでこれ以上 鈍らになることはない。私は大家さんの余っている包丁をもらったのでそれを開缶専用にして使っている。

f:id:taippii:20190424122354j:plain

f:id:taippii:20190424123139j:plain

トッピングはコリアンダーとセロリシーズ。生のセロリも散らしてみた。(4月24日)

 

 


 

 

 豚肉と豆を煮たパウチのパックもあったのでこれもカレーになるかと試してみた。しかし、BBQソースと銘打たれているものの 砂糖が多く入っておりカレーパウダーを入れてもカレーにならない。恐るべし、フィリピンテイスト…。量も100グラムはさすがに少なすぎる。失敗の一作。肉入りの即席カレーへの道は遠い。

5/2

 添えられてるのは畑で採れたキュウリ(のピクルス)とオクラ。(5月2日)

 

 


 

 

自家分で作って余ったカレーをカレーうどんにリメイク。水と醤油を足し、昆布の代わりに 海ぶどうの隣でいつも売られている現地の海藻を入れる(今調べてみるとこれが一番近い)。片栗粉も入れて 見た目も味も予想以上にカレーうどんで、おいしく完食。

5/9

麺は例によって日本食材店で買ってあったもの。35ペソ。 フィリピンの中華生麺は500グラム入で20ペソ。これで2.5人分ほどなのでそれと比べると割高である。うどんも自前で作れないか、と今後の課題が挙がる。

 

 


 

 

使い残した海藻を使って福神漬けにトライ(食材をどんどん使い回しているとなにかのパズルゲームをやっているようで楽しくなってくる)。まぁまぁ近いところまで寄ったが、赤シソが欲しかった…。茶色のは干し椎茸。他は白ごま、生姜、人参、大根、褪色しているけどキュウリ。

5/10

5/10

福神漬けも引っさげて、村にて販売。大人には下の写真のようにサーブする。35ペソと村にしては強気の値付けながらも男性からおかわりを求められるなど、この日も完売できた。釜のなかの容器は500mlしか入らないので もうひとつタッパーを集金カバンのなかに入れておき、少なくなったら移し替えるというやり方をとっている。炊きたてのご飯に囲まれるかたちになるので保温はバッチリだ。5/12

f:id:taippii:20190512192922j:plain

スマホでゲームに興じている中央の男の子はサリサリストアの子供。お金が少しあるのでほぼ毎回買ってもらっている。他の子はウータンが多いかな。でもきちんと払ってくれる。

今回、ヘビーユーザーの少女の発案・要望で、ナイロン小袋は一辺だけ切り開いてすり鉢状としそこにサーブすることに。これなら小学生未満の掌の小さな子でもこぼさずに食べることができる。(5月11日)

 

 


 

 

雨季に入り、夕方に大雨となった場合はさすがに村に売りに行くことができない。それを見越して、昼の市場・小学校では販売可能として、夕方が中止になった場合でも自家消費の2、3食くらいで食べ切れるように減量verで作ってみることに。
5/17

 市場で唐辛子だかピーマンだかの葉が食用として売られており、それをヒントに彩りとして採用してみた。味はそこら辺の草から青臭さを少し抜いた感じ、食べようと思えば食べられる。近所にできたコイン式インターネットカフェと、村のよく知っている子供に売りに行き、あとは自家消費3食で完了となった。
ちなみに最初の味見では今ひとつであり、塩・砂糖・リンゴ半個・ウスターソースを足して、まぁ人様に出せるラインに持っていった。できあがりのイメージを持っておいて それに何が足りないかがわかっていると、修正することができる。不味く仕上がってしまったのは問題ではない。
それからこれは当たり前なのだが、不味いのを提供すると後々のオーダー減に直結する。どうしても満足のいかないものができてしまったら販売中止という決断もしなければならない。(5月17日)

 

 


 

 

入手可能な限り、最近のカレーにはマンゴーが入っている。毎回、商用の料理にあたっては原材料をノートに書き出しており、それには原料費を計算・確認するため購入金額も記されている。マンゴーの項でその隣に書き込まれている数字は「0」。つまりタダで仕入れができている。そこらじゅうに落ちているのだ。
写真のマンゴーはその中でも特に大きなサイズ。いつもと違う道で手に入れた。手に持つとずっしりと思い。一緒に写っている包丁が小さく見えるが普通の文化包丁である。果物ナイフではない。
これを全部使うのは多すぎなので半分ほどカレーに入れた。

5/24

5/24

私はどちらかというとそのまま食べるマンゴーは好きではない。トロピカルな桃のような香りにかぶりつくが なんだがクセのある味が口に広がり、うーんとなる。マンゴーも結構種類があるのでなかにはおいしいものがあるのかもしれないが、現時点では好きな果物ではない。
カレーを作るようになってから市場への道中でマンゴーが落ちていれば1個か2個拾うようにしている。使わなくて傷んでしまってもそこらへんの山羊にあげればいいので楽だ。(5月24日)