フィリピンローカルの一日 【仕事オフの日・テントマーケット 】編

今回は「仕事無し、ご飯を炊かなかった日」として2018年11月29日を紹介します。ご飯のない日は市場で食事を摂ることになりますが、この日は週二回のテント市が開かれる日になっています。 

 

 


 

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7時、スナック菓子とフルーツで軽めに朝食をすまし、洗濯。
部屋のドアを出て数歩の好立地でポンプがある。バケツは24リットル。もちろん手洗いなのだがすっかり慣れて不便は感じない。

強い日射しの下、服を干す。日光が直射していれば2,3時間ほどで乾いてしまう。
右から日本に帰ったときに西成で拾った海人と書かれたTシャツ、村へ行く途中の道で拾ったミロのTシャツ、少し大きな隣の市の古着屋で5ペソで買ったトランクスが二つ、ゴミ収集に参加した時に拾ったシーツ、フィリピン人の友人から貰ったTシャツ。
自己資本比率が当社規定を大きく下回っている。 チクショウ、なんて日だ。

 

 


 

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市場へ行く前に近くの小学校へ寄った。一年前に校舎裏の園芸スペースに植えたパッションフルーツは上にも横にもよく伸びている。

今日は学校がお休みのかわりにガールスカウトのキャンピングがあるよう。校庭にいくつものテントが見える。横断幕にはテーマは環境保護児童虐待の防止とある…。奇跡のコラボ。まぁ、フィリピン人がそう言うのだからそうなのだろう。

緑のスカートと黄色のスカーフがユニフォーム。

 

 


 

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途中で知り合いの親日派のおじさんのトライセクルに拾ってもらって「側車」の方に乗り込む 。オイルタンクには小さなお孫さんを乗せているがこの国ではよく見かける光景である。また二人ともノーヘルだが細けぇことはいいんだよ、のお国柄なのである。このおじさん、日本の挨拶や唱歌を少し知っているようで乗車中よく披露してくれる。まぁそれはいいのだが山下金塊の噂を本気で信じているようで時々どこから仕入れたのか古い絵地図のコピーを持ってきて漢字を翻訳してほしいと依頼してくる。その都度、本当じゃないから信じないでと言い添えるのだが一向に意に介さないようである。困りものなのはこのおじさんだけでなく、一定の年齢より上の人達はそのほとんどがこの噂を信じているということである。 村長さんを含め、良識派と思われる人達もこの町のどこかに金塊が埋まっていると信じて疑わない。延べ10回は解読の相談を受けた。最近は「 もし見つけたら10パーセント下さいな」などと冗談を付け足してその夢に付きあってあげることにしている。 

トライセクルで混み合う市場の南西口。町ごとでトライセクルのテーマカラーは統一されており、我が町は青地に黄色、北隣りの市は赤と青と白、東隣りの町は黄緑と橙、南の町は赤地に黒となっている。今日は市場の外周に天幕を張っての週二回の産直テント市が催される日となっており、多くのトライセクルが出入りしている。この南西口に乗りつけても渋滞に嵌まることは目に見えているのだが、ほぼすべてのドライバーはお構いなしに突っ込んでくる。交通整理の人員でも配せばよさそうなものだが誰もそうは思わないらしい。年末など本当にごった返す時は一方通行になる。

 

 


 

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平常時は構内に店を構えるフルーツセクションの面々も、マーケットデイは外周で店を広げるのが恒例となっている。私の観察の限りでは、ミカンはパキスタンから、リンゴは中国から、梨は韓国から、と熱帯以外の果物は輸入物が多い。傷やネズミになった等外品は5ペソで投げ売りされている。馴染みの客になるとそうしたものをオマケしてくれることがあるので、返礼に私も売れ残ったドライカレーとかを無料であげることにしている。すると次回たくさんタダでくれるという好循環になってきている。実は私はこうした"提携店"をいくつか持っており、そのおかげで営業的にロスは発生しない…。ちなみに、等外品を買うのは日本以上に卑しいみっともないという観念が有るのかどうか、またそうした者の料理に金を出すものか、といったことが有るのかどうか、精肉・鮮魚のセクションではまぁまぁ売れるが、青果部では20人ほど店員さんが居るのに、これまで買ってくれたことは片手で数えられるほどである…。

瓶入りの蜂蜜350ml入りで100ペソ、700ml入りで200ペソ。隣りの市では値切ると大瓶を150ペソで売ってくれることを私は知っている。ディスプレーとしてかハニカムも陳列されている。食べ方はいろいろあると思うのだが、プレーンのクラッカーにかけて食べるとめちゃくちゃウマイ。最近はレモンの皮を剥いてから輪切りにしてそこにかけて食べたりしている。プチ贅沢である。
贅沢といえば、この国ではさまざまなおいしい果物があるのに金欠や親の教育方針(の無さ)によって多くの子どもたちがそのおいしい果物を味わったことがないということが往々にしてある。蜂蜜もそのひとつにあたり、漁村部では10代になっても一度も口にしたことのない子が大半で、蜂蜜を塗ったクラッカーは大人気だった。貧困と書かずに金欠と書いたのは、中流以下だとしても、まぁまぁの収入源は持っており、しかし酒やギャンブルやタバコやトライセクル代など、不要とも思える出費がみられ、子供の栄養や教育の面にまで回らないからである。困窮している層を貧困層と決めつけるのは外から見た一面的な見方でしかない。 

トマトの大きさは普通のトマトとプチトマトとの中間。品種は4つか5つかあり、甘いものもある。トマトは最も値段の上下が激しいスリリングな野菜。最安はキロ8ペソ、バギオで天候不順が続いた時には10倍まで上がる…。
保存性を高めたトマトソースを販売アイテムに入れて、高値の時にその水準で売り捌くというのを目論んでいる。瓶のフタにゴム樹脂のついてない物だと黒カビとなってしまうよう。瓶もテント市の日に、ゴミから拾って再生しただろう物が安く売られているが、正値でシール性のあるものを買おうか検討中。投資だ。

白い大きなのは冬瓜の近種か?  同じような色をした白っぽいキュウリがあるのだがこれはなぜがフルーツの括りに入るらしく果物店に他のフルーツと並べられている。一年目、初見の時にこれは何?甘いの?と英語で聞いて、甘いとのことで購入したのにただのキュウリだったという目に遭っている。フィリピンの人は適当に答えることが多い。イエスノーで答えられる問いはしない方が無難である。

 


 

 

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 山芋と唐辛子。そういえば山芋はまだ買ったことがない。お好み焼きにでも入れるとどうか。赤唐辛子はテント市が終わると熟して傷んだのが落ちているので拾って植えると普通に育つ。決して高い物でもないが少し節約できるし家の近くにあると買い忘れた時などに便利である。 

洗剤やナイフも売られている。平時の店より安いことが多い。普段から相場を覚えておくことが肝心である。

すだちの上位互換、カラマンシーは1/4キロで25ペソという表示。マニラでは10ペソや8ペソというのを見かけた。豊作で入荷しすぎたのだろうか、地方の方が必ずしも安いというわけではないようだ。あまりに安いと運んだり袋詰めする方がコストがかかるように思うが、生産調整という概念は存在しないのか…。

レタスキャベツホウレンソウなどの葉物と根菜類はバギオから毎日入荷する。山道で土砂崩れがおきた翌日にもテント市が開かれたことがあったが、いつもの四分の一ほどの出店数。その出店しているのが本当の地場物の店というわけだ。葉物は除くが種類はバギオ商と引けを取らない。

 


 

 

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どこの市にもだいたいある両替のチェーン店。我が町にも市場のすぐそばにある。
マニラのいちばん率の良い両替商より50-70ペソ悪いが、それでもショッピングモールのは100ペソほど悪いのだからまだマシなのである。コンマとなっているので1万円札を窓口に出すと4540ペソと引換えになることになる。 為替の変遷以前紹介した

画がぶれてしまっているが黒米の蒸したもの。外側はパラパラしているが、中はもっちりしている。おはぎくらいのサイズで10ペソだったかな?

生きた鶏も売られている。一羽200-300ペソか? 羽の筋でも切られているのか身動きできずにいつもウ〇コだらけになっている。鶏肉店ももちろん市場内にあり、毛を毟られたのが近隣の養鶏兼加工場から冷凍で届き、解けながら陳列されている。

鮮魚は漁師の奥さんが売り子になって市場外周に出店している。地べたにシートを敷いて売るのだが、そのシートの裏表が管理されているようには見えない…。気になる人には気になるだろう。時々そのシートからも はみ出したりしているし…。
漁は午前3時でも4時でも操業しているようで、村の砂浜やモータープールで寝たりするときはポンポンポンというエンジンの音が静寂の中に届く。朝獲れなので新鮮なことは新鮮だ。 

 


 

 

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 ココナッツの若い実はブコと呼ばれジュースとして飲まれている。より熟したのはニョッグと呼ばれ、脂肪分のある実が厚くなってくるのでココナッツミルクを採ることができる。市場など人通りの多いところには必ずこのブコジュースの屋台が出ている。ものの本に拠れば、天然のスポーツドリンクと紹介されているが、仕事を注意深く見ると、果汁とは別に 前もって用意されている砂糖水を容器に入れている。幹線沿いの土産ショップなどで売られているヤシの実をカットしてストローを挿したやつを飲めば明白なのだが、甘さが全然違う。本当のブコジュースはほんのり甘いだけだ。
最近はプラスチック容器が禁止となり、紙カップで提供されている。紙カップの方が高価なので、ジュースの容量が減ったようだ…。
砂糖が入れられていると知ってから私はほとんど飲まなくなった。カラマンシーの果汁を一個か二個分入れると、味が締まってかなりおいしい。

市場は幹線(高速道路?)に面している。テント市の日は車も人通りも多い。

 

 

 

(長くなったので前後編に分けます…)