撤退戦? それとも
とーとつですが。もしあなたが日本を「下りる」としたら それはいったいいくらの買物になるのでしょうか。
最近もいくつかの、仕事が原因での若い世代の自殺が報じられています。そこまででなくとも、精神的に追いつめられて まいってしまっているケースも多いでしょう。ここにおいて逃げ道が有ると無いとでは結果は大きく違ってくると思います。逃げ道が無いというのは、仕事一本という視野狭窄もそうですが、退職したあとの家族や近所からの目や 再就職のしにくさなどの本人をとりまく環境の全ての方向を含んで、のことです。現状で踏ん張るという以外の選択肢に多くのコストを要す、少なくとも本人はそう思っている状況ですね。
「前門の虎、後門の狼。もうお手上げ」—。
では、そうしたことを やや乱暴ながらも一挙に解消する手段として海外移住を選ぶとなると、おいくらで可能になるのでしょうか。
移住先は、近い・安い・英語が通じる、を基準にするとフィリピンが一番に浮かびます。しかしいくら移住できるからといっても住むのは自分なので まず下見です。
ずっと住みつづけられるかどうかをみるために最低でも数ヶ月は過ごす必要があるでしょう。仮にこのお試し期間を6ヶ月として 実際いくらの費用がかかるのでしょうか。
全ての費用を最低限に近いものにして計算すると、6ヶ月でズバリ
23万円 。
ちなみに1ヶ月でギブアップの場合は8万円、3ヶ月では12万円強です。
ちょっと気になる「最低限」の文言ですが、今回は 割りと攻めてる感じだと思うので「高校の10キロ遠足をズル休みした」とか「人生で一度も一人野宿をしたことがない」とか「毎日お風呂に入らないと気が済まない」とか「ゴキブリが部屋の隅に出ただけで大騒ぎする」といった方は そっ閉じ でお願いします( ※マニラで野宿したり、部屋でゴキブリが飛び交ったりするわけではありません、あくまで目安です。あっ、スミマセン、ゴキブリは飛び交います…)。 特に滞在費はフィリピン在住邦人の平均から比べるとかなり低いです。いくつかのサイトやページを見ましたが、不法滞在者を除いてこれより低く見積もっているのは見たことがありません。まぁ、「平均」というのは商社などの出張で来ている方々、「駐在組」とその奥サマ方(日本での生活の様式・水準を維持している層)のブログとかでの話なので比べるのもおかしいのですが。では内訳を順に見ていきましょう。
ほぼ出費が決まっている固定費から
- 往復航空チケット:30,000円 、格安航空会社で片道10,500円から。時期や曜日で値段が3倍くらい違うので安い日を狙います。帰りの日付を適当なものにしておいて、帰りたくなったら変更するとしてその手数料含めてこの金額としておきましょう。フィリピンは帰りのチケットがないと入国できないので、必ず往復で手配してください
- 英和和英辞典:3,000円 、私は小さめのものを買いました。もちろん語学に自信のある方は購入不要です
- 書籍:4,000円 、フィリピン移住の解説本と英語のお勉強の本
- 鍵付きのアルミケースカバンなど:3,000円、 ホームセンターで購入しました。長辺50センチくらいのあまり大きくないものです。始めのうちは歩きまくるので重くないようにします。ワイヤーロックも100円ショップで買っておきましょう
- ホテル宿泊:800P×7日 、最初の一週間ほどはホテルに泊まることになると思います。テレビ付き・普通の汚くないところで1,500P/12H。 ホテル、いや、居住空間と呼べるかどうかの完全アウェイ仕様のトコロで300P/24H。要はピンキリです。私たちがホテルと聞いて思いうかべる「きれいな」ところはこれらの数倍はするでしょう
- 被服類:500P 、服は安いので必要になったら買うとして日本から持ち込むのはパンツとTシャツ1枚ずつくらいにしておきましょう
Pはフィリピン通貨のペソ、今は1P=2.2円くらいです。後でまとめて換算します
滞在に係る変動費
- ベッドスペース: 1,500〜3,000P/月、文字通りベッドだけが自分の陣地の共同部屋。一人部屋の「ROOM」は3,000P前後。今回は1,500Pで計算しました。女性オンリーで募集しているところもたくさん見かけます
- 食事: 5,000P/月、 1食50P → 1日150P→ 1月4,500P。これに、たまの贅沢用として500Pを加算してみました
- フルーツ: 1,000P/月 、 1日30P → 1月900P → キリよく1,000Pとしました。外食が基本になるかもしれませんがそれだと野菜不足になるのでフルーツを食べましょう。いろんなのがあってどれもおいしいですよ
- ネット:1,500P/月、インターネットカフェにて15P/1hで利用できます。多めに3〜4時間、1日平均で50P支出したとして、その30日分が1,500Pになります。都市部なら街のいたる所にネット店はありますが、子供が大騒ぎしているか店員が爆音で音楽をかけている所が9割なので 静かなお店を見つけるまでが一苦労です
小計9,000P/月 6ヶ月なら54,000P
変則的な変動費
- ビザ:2ヶ月毎の更新で3,130P×3回 = 9,390p , 手続きの場所や時期や職員によって変動がありますw
-
6ヶ月に満たない滞在の場合は減じてください
移動などの費用
- 中・長距離バス:例えば、バスで6時間ほどと遠いですが避暑地として有名なバギオまでマニラから片道400〜500P。日帰り避暑地&観光地として有名なタガイタイまで片道80Pほど。2,000Pとしました。首都圏は所によってはかなり空気が悪いので早めに脱出を計画しましょう
- 遠征先のホテル:観光地のホテルはどこも高いです。安いところでも一泊2,000Pほどかと思います。10,000Pとしました
足し算して確かめていきましょう。適当に数字を丸めていくので、途中や最後で数千円の誤差が出てるかと思いますがご容赦ください。
固定費の項目で40,000円と6,000P
滞在費の項目で54,000P
ビザ関係の項目で14,000P
移動費の項目で12,000P
ペソを合算すると86,000P。 1P=2.2円で換算すると189,200円。これに40,000円を足した 約23万円 が(低予算で)フィリピンに6ヶ月滞在するとかかる費用になります。 1ヶ月の場合は遠征ホテル代金10,000Pをはじいてあります。
お試し期間の後、「これなら住める」となった場合に、この勢い(滞在費)でいくならどの程度の貯金があればいいのでしょうか?
いつまでも観光ビザでというわけにはいきませんので、まず長期滞在ビザへの切り替えをみていきましょう。
主な長期滞在できるビザを紹介します。
- 観光ビザ:実は延長すれば最長2年まで滞在できます。一度出国して再入国すればまた2年いけます。基本は2ヶ月先への延長ですが6ヶ月先への延長も可能のようです
- 特別割当移住ビザ:年間50人にしか発行されないビザ。時間がかかる、書類が多い、審査が厳しい。メリットが多い最強のビザですがコネがないと難しいと言われています
- 婚姻ビザ:フィリピン人と結婚したらもらえるビザです。当然、不仲になると取りあげられて追い出されます。銀行預金を失わなければいい方で、動産・不動産は諦めましょう
- 特別退職者永住ビザ(SRRV):自国からの海外送金による銀行預け金・申請料・年会費を支払うことにより発給される比較的簡単・確実なビザ。35歳以上であることが資格要件です
私はSRRVを取ることにしました。メリットはこちらのページにまとめられています。
申請料は$1,400、2016.10現在で約145,500円になります。
年会費は$360、約37,400円。
指定銀行への預け金は$20,000のコースと$50,000のコースがあります。
預け金はしょうがないとして、申請料・年会費がもうすこし安ければありがたいのですが。
こちらのサイトによりますと観光ビザでの費用は1年で26380P、約57,000円であり、SRRVの年会費1年分はもちろんこれより安いですが、申請料のことを考えるとそうでもありません。
滞在途中で「こんな国もう二度と来るか、チクショー!」となってSRRVを取り下げるとなると、その滞在期間が5、6年の場合は観光ビザで通す方が安いくらいです。
ともかくSRRVを取るとして、「もう働きたくないでござる!」という入口から入ってきた人のために 年金がもらえるようになるところまでの滞在費用を考えましょう。
ま、今回多めにみて70歳までとします。35歳からとして35年間。
年会費37,400円×35年で その額1,309,000円也。
預け金は$20,000のコースでいくとすれば約2,083,000円。
それから申請料として約145,500円。
足し合わせると、70歳までのSRRV関連の費用は約3,537,500円となります。
滞在費の方は1ヶ月で9,000Pなので12ヶ月では108,000P・237,600円、
35年では3,780,000P・8,316,000円。
SRRV関連の費用3,537,500円と合わせ最終的な費用は 約11,853,500円 となります。
あとは一時帰国の費用や医療費などが要るかもしれません。
お金の関係で一番心配なのは為替変動のリスクでしょうか。かなり変動があります。
それから、日本での税金は海外渡航の届け出をして住民票を抜いておくことで大きく減らせます。
以上、フィリピンで暮らしていく費用を計算してみました。
何も今すぐ移住というわけではなくて、いざというときの逃げのカードを1枚作っておくのも決して悪くないと思うのですが。
ニホンに疲れたあなた、南国の生活を数ヶ月からトライしてみてはどうですか?
時間はいくらでもありますから渡航後に勉強するのも手です。
次回はフィリピンでの具体的な食生活、50P・40P・30P・20P・10Pの「まにら貧乏飯」を紹介していきます。それでわでわ。